2011年1月29日土曜日

スプレーガンを買っちゃいました☆



年末に金粉などの不要な材料を処分して少しお金ができたので、スプレーガンを購入しました!

オリンポスのエア缶用のガンです。
くるまのコーティング用に使用しました。


スプレーガンといえば、アネスト岩田、PIA、明治製作所などがメジャーですが、このオリンポスはすでに廃業しているエアブラシメーカーです。


通常のスプレーガンはコンプレッサからエアを供給して塗料をミスト化するのですが、このオリンポスのガンはエアブラシ技術の延長上にあるもので、コンプレッサでも、代替フロンガスの充てんされたエア缶のような低圧なエアでも塗装が可能です。


すでに廃業されているメーカーの商品で、在庫限りしか入手できないためついつい購入してしまいました。


この「もうこの人しか作る人がいない」とか、「もうこういった素材で作られた道具はこれからつくられることはない」といった種類のフレーズにこと漆職人は弱いような気がします(;´Д`A ```


さて、別にこれで漆を塗装することはありませんが、スプレー塗装についてひとつ。
よく、「これは吹き付け(スプレー塗装)では、ありません。職人さんがひとつひとつ手塗りしたものです。」なんてセールストークを耳にすることがありますが、「スプレーで塗装したら漆器は安くなるのか?」というと、そうではありません。


まずスプレーで塗料を噴出すとき、ガンの口から噴出されているミスト(霧化塗料)の中で実際に塗膜になる成分は大体20%程度で残りの80%はシンナーです。この20%のことを固形分(Non-volatile:不揮発分)といいます。


次にガンの口から出ているそのミストの内、実際に被塗装物に付くことができるのは大体30%前後です。残りは廃棄装置のフィルター等に回収され、ゴミになります。この噴出した塗料が被塗装物にのる割合を塗着効率といいます。(30%の数値は重力式エアカップガンでの例です)
つまり、刷毛で塗るよりスプレーで塗る方が塗料もたくさん必要だし、希釈するためのシンナー(溶剤)も必要になるわけです。


仮に同じ人が刷毛とスプレーでそれぞれお椀に漆を同じ時間だけかけて塗ったとすれば、スプレー塗装のお椀の方が高くなることでしょう。また、スプレー塗装をするためにはそれなりの設備投資が必要になるため、その減価償却も価格に上乗せされるでしょう。
スプレー塗装は結構無駄が多いのです。



私も刷毛師 泉清吉さんの刷毛を愛用しております(^o^)/
刷毛塗装の場合、漆を無希釈(無溶剤:ノンソルベント)で塗装することができます。そのため高粘度でろ過するのでその時のロスがちょっと多いですが、それでも塗装作業全体を通して、90%前後の効率で無駄なく漆を塗ることができます。


つまり、漆を塗るには刷毛が一番最適な道具なのです(o^-^o)
さて、それでもスプレー塗装が安いとされている理由、そのキーワードは「時間」です。


まずは、「作業時間」です。

スプレー塗装はスピードとムラなくきれいな塗膜を作れるのがウリです。刷毛では「漆をつけ→全体に伸ばし→平滑に塗り面を整え→作業中に乗ってしまったゴミを除去する」といった手順でそれなりに手間と時間がかかります。刷毛で一個お椀を塗っている間にスプレーで10個塗れれば、材料自体の効率が悪くても全体としての効率は良くなっているので、コストダウンになります。
次に「硬化時間」です。


漆の塗膜が表面硬化(指触乾燥)するには、一般的に6~12時間程度必要です。表面が触れるくらいまで固まらないうちは液体のままですので、放っておくと重力に負けて塗った漆が垂れてきますので、一定時間ごとに上下を反転さる機械の中(回転室といいます)に入れて、垂れないようにそのなかで硬化させます。


つまり1回の塗装作業では、回転室に入る以上の数を塗ることができません。
一方、多くの漆のスプレー塗装の場合はこの硬化時間を短くすることを念頭に置いています。
一般的な方法としては、漆にイソシアネート(TDIが多いらしい)を添加し、塗装して、溶剤が揮発したらすぐに表面の硬化が始まるようにします。

つまり、「硬化時間」の短縮です。
そうすることで、塗装後の回転作業を省けるため、1回の作業で塗れるだけ塗ってしまうことができます。


こういった生産効率の上昇が、スプレー塗装漆器の価格を下げることに効いているわけです。
ただ、イソシアネートを添加することで、本来の漆の硬化の反応形態のなかにウレタン結合やウレア結合ができ、ホントのところなんだかよくわからない塗膜になっています。
そのせいで未反応の部分が取り残されて、通常の漆の塗膜よりもかぶれやすいという話もあります。


ただ、別にスプレーガンが悪いわけじゃありません。
スプレーガンはとってもいい道具です。

硬化時間を気にせず、スプレー塗装後きっちり回転室で面倒を見てやればきっときれいな塗膜ができます。

・・・コストはかかりますがねっ☆